届出をした中で自殺した人

 届出をした中で自殺した人数は約一万五千人。実際に届出をしたにもかかわらず、自殺した訳でもなく、その生存が確認されない人は、約五千人いる。つまり純粋なる行方不明者の数だな。その中で家出をして何処かで生き延びているか、既に自殺をしていると考えられる判断材料がない人が百人位いる。

 つまりこれが本当の意味での行方不明者だ。過去の話で言えば北朝鮮による拉致事件。それとかひき逃げした挙句の果てがその遺体を山の中に埋めたとか。その数がここ瀬戸内海で最近増えているのだ。広島で言えば県内でその人数は年回一人か二人。それが去年は十三人居た。解かるかこの意味が」

 実は警部の話は聞いていなかった。大下の偽名を使う人物は警部でも山下でも無いと分かったからだ。それならば誰だその大下は。

――『真犯人が分かった』――

 もう一度最初から考え直さなければならなかった。まず俺が襲われたのは、雨の日に一樹の部屋から帰るときだ。その前に一樹に取り憑いていた船長から『匂う』と言われた。その匂いとは大下のことを指す、と考えるのが妥当だろう。

 つまり俺はその前に大下と言う人物と会っている。その人物は俺を襲う必要があった。それは何故? 俺が事件のことを知っているから? ちょっと待てよ、その事件の事ではなくて、無人島での出来事を知っている、と考えたのかもしれない。それは何故?

 俺が一樹から話を聞いた、と思いこんだのではないだろうか。つまりその大下は俺と一樹の間柄を知って自分の身に迫る警察の手を恐れた。それなら俺は何処で? そうか、あの時だ。あの時あの男は俺に向かって言った。 『よしてくださいよ野田さん』

フレンドサイトの紹介(LINK

―――― Copyright-Japan web dwyt The-銀行融資‐ドアをノック-All Rights Reserved――――
ネット上で公開している文章には全て著作権法が適用されます。

自称‐官能小説作家「助平なお」作「銀行融資‐ドアをノック」のイメージ画像