そう言ったのだ。それはそうだよな、自分の目的はもう済んでいるのだから、この世に現れる時は、遊びに来る時ぐらいしかないな。そう考える俺の耳に、警官の声は聞こえていた。
「そう、そう、ゆっくりと落ち着いて。落とすなよ、今、俺が連絡しているところだからな」
そして事件はその直後に起こった。その警官の話す声が突然悲鳴とも叫び声とも言えないような声に変わった。
「ウッギャー……」
その声と同時にその三人の警官が後退りして、その警官の足元に一樹の身体がドッサという音と共に落ちてきた、それに遅れる事ほんの〇・一秒後、今度は一樹の頭が警官の足元に落ちて来て、俺の視線から逃れるように襖の陰に転がっていった。
死んだはずの一樹の身体は、胴体と頭。そのふたつに分かれ、そのふたつのパーツは床に転がっている事になったのだ。
その場面を目撃した警察官の三人は、予測できなかった事態に驚きと恐怖を感じたらしく、その場を逃げ出そうとした。ただ俺だけはその現象が不思議ではなかった。俺は知っている、俺の推理に間違いはなかった。ゆかりさんだ。
ゆかりさんが一樹の身体に入り込んで彼を自殺に追いやったのだ。そして彼女の思いは一樹の首が落ちる事に込められていたのだ。
三十分後。警察の連絡により東署の木下警部がこの現場に顔を出した。俺は警部に、昨夜から今までの経過を話した。俺の話を聞き終えた警部は俺に向かって一言だけ声を掛けた。
「そうか、分かった」
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