駆けつけた警官は三人

 一樹の部屋に駆けつけた警官は三人居た。その中のひとりは見かけた事がない警官である。つまり彼だけは俺の視線が届かない所、もしくは、彼は周りの人に警官であるという事が分からないようにこの部屋を見張っていたのだ。いやその事に感心している場合ではなかった。

 その警官が携帯電話で誰かと話している。今の一樹の状態を誰かに報告しているのだろう、そしてその電話の相手と話しをしながら、他の警官に指示を出している。
「彼を助けるんだ。彼の身体を抱えて持ち上げろ」

 そう言って土足のまま一樹の部屋に上がりこんだ彼らは、俺の視線から一樹の身体を隠すように、取り囲んだ。残った二人が一樹の身体を持ち上げるのが、彼らの体の動きで解かった。
「そうだ。そのままゆっくりとロープから離す様にして」

 携帯を持ったままの警官が二人に声をかけるが、俺には、それはもう無駄なことだと感じられた。俺は少し勘違いをしていたのだ。

 ゆかりさんは、俺の所に来てから一樹のところに来るつもりではなくて、その前の日から一樹のところに来ていたのだ。そして頃合を見計らって、つまり船長が一樹のもとを離れてから、一樹に取り憑き一樹を自殺に追いやった。その後、俺のところを訪れていたのだ。だから彼女は俺に向かって 『また遊びに来ますから』

目的はもう済んでいる

―――― Copyright-Japan web dwyt The-銀行融資‐ドアをノック-All Rights Reserved――――
ネット上で公開している文章には全て著作権法が適用されます。

自称‐官能小説作家「助平なお」作「銀行融資‐ドアをノック」のイメージ画像